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有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律施行規則の一部改正

平成27年7月9日、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律施行規則」の一部改正が公布されました。主な改正内容は以下の通りです。

主な改正内容
1. アゾ化合物
化学的変化により容易に24種類の芳香族アミン(特定芳香族アミン)を生成する
アゾ化合物に係る基準を新たに制定

該当製品:
①アゾ化合物を含有する染料が使用されている繊維製品のうち、おしめ、
おしめカバー、下着、寝衣、手袋、くつした、中衣、外衣、帽子、寝具、床敷物、
テーブル掛け、えり飾り、ハンカチーフ並びにタオル、バスマット及び関連製品

  1. アゾ化合物を含有する染料が使用されている革製品(毛皮製品を含む。)のうち、下着、手袋、中衣、外衣、帽子及び床敷物

基準値:①及び②の家庭用品中、アゾ化合物の特定芳香族アミンとしての含有量を30μg/g(30ppm)以下とする

分析方法:ガスクロマトグラフ質量分析法 他

アゾ化合物、特定芳香族アミンとは?
アゾ染料は19世紀半ばごろから使用されるようになり、種類が豊富でありかつ安価なことから現在では世界中で3000種類以上のアゾ染料が使用され、その割合は染料市場全体の65%に達すると言われています。一方で、これらのアゾ染料の一部は皮膚表面や腸内の細菌および肝臓などで還元的に分解され、発ガン性を有するもしくは疑われる芳香族アミン類を生成することが知られています。
アゾ染料は化学構造式で[−N=N−]と表記されるアゾ基を持つ物質で、特定芳香族アミンとは、アゾ染料中のアゾ基が還元分解されて生成される特定芳香族アミンのうち、発がん性が指摘されている芳香族アミンを指します。
昨年末、厚生労働省は福井県の事業場で、オルト-トルイジンをはじめとした芳香族アミンを取り扱う作業に従事していた複数名の労働者が膀胱がんを発症した事案を公表しました。今後、アゾ化合物に関する調査・規制が強化されるものと思われます。

 

2.トリフェニル錫化合物及びトリブチル錫化合物
最新の科学的知見を踏まえ、試験法(抽出溶媒、分析方法等)を改正
(分析方法:フレームレス原子吸光法 → GC/MS法)

3.ホルムアルデヒドに係る基準
試験方法:吸光度を測定する一部の操作において、「精製水」に替えて「酢酸・酢酸アンモニウム緩衝液」を使用する等、試験法を改正

 施行期日
平成28年4月1日

 関連情報
厚生労働省(新旧対照条文)
http://www.nihs.go.jp/mhlw/chemical/katei/PDF/20150709-3.pdf
福井県の事業場における膀胱がん発症に係る調査状況等について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000116722.html

 参考文献
繊維製品中に含有されるアゾ染料由来の芳香族アミン類の試買調査
河上強志、伊佐間和郎、中島晴信、土屋利江、松岡厚子:日本薬学会第130年会
(2010.3、岡山)